「睡眠白書」にみる「安眠難民」たちが寝つけない理由」にひきつづき、日本睡眠科学研究所が、10000人の男女を対象にした調査をもとにまとめた「睡眠白書」を読み解いていきます。
最新の2019年版には、「ビジネスパーソンの睡眠実態」が報告されています。
ビジネスパーソンなぜ眠れないのでしょうか。辛い不眠の実態とその原因、対策について、白書の分析をひもといて考えていきましょう。

参考 西川睡眠白書2019~日本の睡眠調査~(睡眠科学研究所)

ビジネスパーソンの睡眠満足度

悩みは深いが、眠りは浅い

調査は、ビジネスパーソンを含む3000人を対象として行われました。
睡眠状態全般、睡眠時間、睡眠の質について満足度を尋ねたところ、ビジネスパーソンの満足度は50%を大きく下回り、多くの人が不眠で悩んでいることを伺わせる結果になりました。
ビジネスパーソンとそれ以外の数値を比較すると、いずれもビジネスパーソンの満足度が低く、とくに睡眠の質では、ビジネスパーソンがそれ以外を10.8%も下回っており、不満が強いことを伺わせます。

西川睡眠白書2019~日本の睡眠調査~(睡眠科学研究所)

働き方と不眠の気になる関係

長時間の痛勤ストレスが睡眠満足度を下げる

白書では、とくに、通勤時間と睡眠の関係が分析されています。
通勤にかかる時間別に、睡眠について「十分満足」「やや満足」「あまり満足していない」「全く満足していない」から選択する調査では、通勤15分以内の睡眠満足度が75%以上と優秀なのに比べて、1時間以上かかるビジネスパーソンでは50%前後まで下がってしまうことがわかりました。

西川睡眠白書2019~日本の睡眠調査~(睡眠科学研究所)

逆に、最低評価の「全く満足していない」を見ると、1時間以上かけて通勤している人はおおむね35%いることが見てとれます。
これに、都市部の満員電車での「痛勤」を考え合わせると、長時間の通勤、とくに朝のラッシュがビジネスパーソンの眠りを妨げているということができるのではないでしょうか。
白書も「通勤時間が長くなるのは仕方がないことかもしれないが、ストレスのない通勤はビジネスパーソンの睡眠満足度アップに寄与するであろう」と、まとめています。

ゆっくり眠るなら残業時間は「20時間以下」に

残業時間が睡眠に与える影響も調査されました。
調査対象のビジネスパーソンのうち、「残業時間は月20時間以下」の人は全体の73%を占めていて、調査結果でもこれらの人たちのスコアは高いものになっています。

西川睡眠白書2019~日本の睡眠調査~(睡眠科学研究所)

一方、月残業時間が20時間を越えると、睡眠時間、睡眠の質ともに、満足度が下がるという結果が出ました。
働き方改革法が施行され、ビジネスパーソンの残業時間は短縮傾向ですが、安眠を得るための「残業リミット」は、月20時間以下を目安に考える必要がありそうです。

テレワーカーは眠れない?

勤務形態別の調査もあります。

オフィス通勤よりもテレワークのほうが眠れていない(西川睡眠白書2019~日本の睡眠調査~(睡眠科学研究所)より)

「固定時間制」「フレックスタイム」「裁量労働制」「テレワーク」という区分で寝付きやすさを比較した調査では、働く時間と場所を固定された固定時間制よりも、自由度の高いテレワークでは「全く眠れない」と回答した割合が高く、寝つきが悪いという結果になりました。

西川睡眠白書2019~日本の睡眠調査~(睡眠科学研究所

テレワーカーは他の勤務形態に比べて不眠症の疑いも高く、働き方改革の目玉として期待されていますが、それとは裏腹に、睡眠にはあまりよい影響を与えていないことがわかってきました。
働く時間が自由な分、フレックスタイムで働く人は睡眠を改善する「生活リズム」が作りにくくなっていると考えられます。さらに、働く場所も自由なテレワークでは、この傾向がさらに強まっているのではないでしょうか。

働き方改革は、ワークライフバランスを改善し、ビジネスパーソンが自由に働ける環境を作る方向で動いています。その恩恵を受けるには、起床・就寝時間、食事時間などを一定に整える「自己管理」が重要といえそうです。


クラスター分析でわかる「ビジネスパーソンと眠り」

ビジネスパーソン6つの分類

白書では、ビジネスパーソンを6つのクラスター(群)に分類し、睡眠との関係について分析・考察しています。ここからも、興味深い結果が見えてきました。

クラスター分類は、以下のとおりです。

クラスター1:「現状に不安を持つ悩み多きビジネスパーソン」

ビジネスパーソンの中でも「悩みが多く眠れない」と答える割合が多く、現在自分が置かれている環境に不安を持っている傾向がある。仕事へのモチベーションは高い一方、現状の組織には執着がない。むしろゆくゆくは独立したいという意識を持っている。

クラスター2:「コツコツ働き続けたいビジネスパーソン」

現在の職場で働き続けたいという意向が一番強い。自己の能力をこれ以上伸ばしたいとはあまり思っておらず、出世欲は比較的低い。年代層が高めのため、ある程度自分のポジションが確立したベテラン年次の色が強いクラスター。私生活を重視する傾向もある。

クラスター3:「現実逃避型ビジネスパーソン」

「仕事に行くのが憂鬱だ」「これから何十年も働くことを考えると仕事に気が進まなくなる」など仕事に対してネガティブ意識をもつ反面、出世意欲や高収入への憧れは高い、という理想を追うようなマインドを持つ。私生活も比較的重視しており、楽観的性格が垣間見れる。

クラスター4:「出世意欲の高いポテンシャルが高いビジネスパーソン」

自身の能力発揮意向が最も強く、出世欲・高収入欲も高い。会社への帰属意識よりも、自身の能力・出世意向が強い。私生活よりも仕事を優先するような傾向が見て取れる。

クラスター5:「仕事に意欲的会社に尽くすビジネスパーソン」

現在の会社への帰属意識が高く、同時に自己の能力発揮意欲も高い。どちらかというと、私生活よりも仕事を優先させる傾向が強い。定年後は独立し起業したいという意識も高く、60・70代の経営者層が多くいるクラスター。

クラスター6:「現代社会の典型ビジネスパーソン」

仕事・私生活両面に対してあまりとがった意見を持っておらず、こだわりがない。ワークライフバランスに関しても感度が低く、特定の趣味などを持っていない。仕事や自己能力の発揮などに対してはあまり興味がない様子。(各質問に対して「どちらともいえない」と答える割合が多いクラスター)

眠れるタイプ・眠れないタイプ

各クラスターの睡眠満足度を比較して、白書はビジネスパーソンを3つのグループに分け直しています。

まず、「比較的、睡眠満足度が高い」のは、
年齢層が高く、早寝早起きが習慣づいていて、目の前の仕事に対する悩みが少ないクラスター2とクラスター5、逃避願望が強く、睡眠を阻害する「悩み」が比較的少ないクラスター3でした。

これに対して、「睡眠満足度が低い」のは、
典型的な仕事人間で自己の能力発揮意向が強く、「会社での成績や評価」の悩みを抱えたクラスター4。睡眠時間も6時間台と短く、眠りについて不満が多く出ていました。

また、平均的な睡眠満足度を示したのは、
仕事・私生活両面に対してあまりとがった意見を持っておらず、こだわりがないクラスター6のビジネスパーソンでした。

満足度はビジネスパーソン全体のものに近く、その意味では平均的ですが、ビジネスパーソン以外も含めた全体の中で考えると、必ずしも良好とはいえません。
白書は、このクラスターに就職難や失職が希薄な新卒者が多いことに着目していて、「働く」ということに対するこだわりや積極的な姿勢がなく、生活のメリハリや日々の活力が乏しいと指摘。これが、将来的には睡眠にも影響してくるだろうと考察しています。


「現状に不安を持つ悩み多きビジネスパーソン」が一番危ない

クラスター1はなぜ危険なのか

最終的に、白書が「最も睡眠状態が悪い」と位置づけたのは、
クラスター1「現状に不安を持つ悩み多きビジネスパーソン」
でした。

30代・40代の現役世代で、自分の能力を生かしたいという成長意欲が強く、その反動で現在の職場や環境に不満を持っている、というのが白書の分析。それが悩みとなって睡眠に悪影響を及ぼしているというのです。

さらに、社会保障や収入など、年齢からくる将来への不安も大きく、その背景になっている社会全体への漠然とした不安も無視できない、とも。

「メンタルの疲労は良質な睡眠にとって悪であるが、その根底には目の前の心配や不安だけでない漠然とした将来への不安があり、それにより満足な睡眠がとれない人が多くいることを示しているように考えられる」と白書は結んでいます。

以上は、2019年版をもとにした内容ですが、2020年の「コロナ禍」は、その環境を一変させる負の影響を与えることが予測されます。
白書が指摘するテレワークの弊害や、社会に対する不安の増大、また予想される有効求人倍率の低下など、ビジネスパーソンの眠りと働き方に大きな変動が起きることでしょう。
来たる白書は、これらにフォーカスした「眠りのあり方」を提言する内容になることが予想されます。
引き続き、注目していこうと思います。

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