睡眠不足での運転が飲酒と同じくらい危険な理由

睡眠不足での運転が飲酒と同じくらい危険な理由

飲酒運転に対する罰則が登場したのは、じつは1970年と意外に遅いのですが、1990年代後半に悪質な飲酒運転事故が起き、被害者家族を中心に厳罰化を訴える動きが活発化した結果、2002年、2007年、2009年と厳罰化が進み、今では違反1回目で罰金50万円、2回目で公判請求となっています。
このように飲酒運転に対する社会の目は厳しくなりましたが、最近では、じつは睡眠不足も飲酒運転と同じくらい危険であるということが言われています。

睡眠不足が惹き起こす能力低下

まず、眠くなると何が起こるでしょうか。
集中力が低下することは誰もが経験することですよね。「つい」「うっかり」「知らないうちに」失敗をしてしまいがちになります。
睡眠時間が不足したり、質が低下すると、眠気が生じ、脳の機能が著しく低下してしまうと言われています。

睡眠が足りないと、徹夜状態に近づいていく

まず、ワシントン州立大学の研究チームによっておこなわれた睡眠の実験を紹介しましょう。

これは徹夜したグループと、1日4時間、6時間、8時間睡眠をとったグループとで作業能力を比較した実験で、最も成績が悪かったのは、当然、徹夜グループでした。
しかし、4時間睡眠・6時間睡眠のグループも日数の経過とともに成績が下がっていき、4時間グループでは6日後、6時間グループでは10日後には徹夜グループと同程度に作業能力が下がったそうです。

睡眠が足りないと、徹夜状態に近づいていく
睡眠が足りないと、徹夜状態に近づいていく(イメージ)

また、興味深いことに、その間、6時間グループは集中力や注意力が低下していることに気づいていなかったそうです。睡眠が十分ではないことを自覚していなかったのです。
この実験結果から、眠らないでいると集中力や注意力、反応速度が下がってしまうこと、睡眠が足りてない状態が続くと、自覚がないまま徹夜したのと同じ状態になってしまうことがわかります。

[参考]The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restricti… – PubMed – NCBI

睡眠不足状態は、酒に酔った状態と同じ

眠気による脳機能の低下については、1997年に『ネイチャー』に発表されたオーストラリアの研究者の実験も有名です。

この実験では、まず、正常な睡眠をとって起床した健康な被験者が、午前8時から30分ごとに「動く物体をどれだけ正確に追跡できるか」を測定し、時間の経過による変化を追いました。

その結果、7時間後の午後3時ごろになると、少し低下が見られたそうです。これは多くの人間が生理的な眠気を感じる時間と一致しています。その後、覚醒の持続が12時間を過ぎると、急に成績が下がりはじめて起床時のレベルを下回り、そのまま24時間後まで成績は著しく下がり続けました。

ところが24時間を超えると再び成績が上がりはじめます。これは体内時計が覚醒を促すためで、睡眠が足りなかろうと疲労がとれてなかろうと、生理的に起こる現象です。しかし、ずっと眠らずにいると、覚醒時の作業能力のレベルを維持することはできませんでした。

さらに、別の被験者に30分ごとにアルコールを摂取してもらいながら作業させて、上記のグループと比較したところ、覚醒が14時間を超えた人の作業能力は、呼気中アルコール濃度0.15mg/lと同じレベルの人と同じくらい作業能力が低下していることがわかりました。
この「呼気中アルコール濃度0.15mg/l」というのは、日本の道路交通法における「酒気帯び運転」の定義と同じですから、14時間眠らずにいると、酒気帯び運転しているのと同じということになります。

さらにそのまま眠らないで徹夜すると、作業能力は呼気中アルコール濃度0.5mg/lと同レベルまで低下していきます。
この数値は、日本酒4~6合/ビール中びん4~6本/ウイスキー・ダブル5杯を飲んだのと同じ、千鳥足レベルの酩酊状態に匹敵します。
つまり、長時間眠らないで運転する行為は、飲酒運転と同じくらい危険だということがわかります。

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睡眠不足で自動車を運転すると……

実際に睡眠不足が自動車運転に及ぼす影響について見てみます。

交通事故と睡眠不足

平成30年の交通事故(原付以上運転者)の統計によれば、法令違反別件数トップ5は次のようなものでした。

  1. 安全不確認
  2. 脇見運転
  3. 動静不注視(相手の車や人の動きを見ていない)
  4. 漫然運転(ぼんやり考え事などしながら運転する)
  5. 運転操作不適(ペダルの踏み間違いなど)
平成30年の交通事故(原付以上運転者)の統計
警察庁交通「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」(局平成31年2月14日)

長時間眠らない状態が続き、集中力や注意力、反応速度が低下してしまうと、これらの事故の原因となるような判断ミスや操作ミスをおかしかねません。
つまり、睡眠不足が事故の原因になってしまうのです。
睡眠不足で強い眠気に襲われると、居眠り運転をしてしまう危険性も高まります。
居眠り運転による事故は、回避行動がとれないために悲惨な結果を招きます。居眠り運転による事故の一番の原因は睡眠不足です。
じつは道路交通法には「居眠り運転」という罰則はありません。しかし居眠り運転で事故を起こしてしまうと「安全義務違反」や「過労運転」の罰則が課されます。

冒頭に書いたように「過労運転」とは「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」というもので、より加点が重くなります。睡眠不足で運転することは飲酒運転に匹敵するくらい危険なことであり、このように事故を起こして罰せられる可能性もあるのです。

ですから、睡眠不足の際には運転は控えなければなりません。
ふだんから適度な睡眠をとる習慣がなによりも大事です。

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運転中に眠気を感じたら

とはいえ、先に紹介した実験でわかったように、睡眠不足の人にはその自覚がないということがあります。よく寝たつもりでいても、運転中に眠気を感じてしまうことになります。
もし運転中に次のようなことがあったら、それは眠気が生じているサインですから、すぐに休憩をとることが必要です。

  • あくびや瞬きの増加
  • 顔や頭を触ったり首や肩に手がいく回数が増える

強い眠気に襲われる前に、リフレッシュを心がけるようにしましょう。

  • ミント系のお菓子を食べる
  • コーヒーなどカフェインを摂る
  • 窓を開けて風に当たる
  • 大音量で音楽をかける
  • 外に出て歩く
  • 顔を洗う

といった眠気対策をとる人も多いと思いますが、結局はその場しのぎであり、確実な効果はありません。
安全な場所に車を駐車し、短時間でも仮眠することをお勧めします。
20分程度の仮眠をとれば効果が得られますが、30分以上とると、起きたあとも眠気が取れないことがあるので気をつけましょう。
また長時間運転するときは、2時間ごとに休憩をとることが推奨されています。

どんなに運転に自信がある人でも、眠気に襲われると正常時の能力が低下してしまうこと、睡眠不足で運転することは飲酒運転に匹敵するほど危険であることを、いつも頭におき、健全な睡眠習慣を持ち、安全運転を心がけましょう。

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