寝具メーカーの西川がサポートする「日本睡眠科学研究所」は、10000人の男女を対象に、日本人の睡眠に関する意識・満足度調査を行い、定期的に「睡眠白書」としてまとめています。
今回は、最新の2019年版をもとに、睡眠に関して私たちが置かれている環境を検証してみましょう。
「安眠難民」が増加している
不眠の疑いは7割近い人にある
研究所は、世界保健機関(WHO)が採用している不眠判定方法「アテネ不眠尺度」に基づいて、不眠に関するWEBパネル調査を行いました。
その結果、「不眠症の疑いがある」「少し不眠症の疑いがある」を合算すると、67.2%に上ることがわかりました。とくに20代・30代のスコアが全体に対して10%も高く、学生や働き盛りの人が不眠の悩みを抱えていることが伺えます。
睡眠の質に満足している人は30%にとどまる
全体的な睡眠の質に関する質問では、「満足」と答えたのは全体の31.2%にとどまり、不眠に悩む層とリンクして、睡眠の質に関しても多くの人が不満を持っている状況が明らかになっています。
年代別では、60代・70代の満足度が高いのに対して、40代以下では「不満」を訴える人の比率がずっと高くなっており、やはり働き盛り世代の睡眠に問題があることが浮き彫りにされました。
調査結果から、多くの日本人が不眠に悩み、眠りに対する不満を抱えた「安眠難民」である実態がわかってきました。白書は「学生と働き盛りの人々の睡眠改善は急務」と警鐘を鳴らしています。
睡眠時間に対する不満とは
日本人の平均睡眠時間は「7時間」
白書によると、日本人の昇進時間で一番多かったのは23時台、起床時間は6時台でした。大づかみに、平均睡眠時間は「7時間前後」であると考えられます。一方、「睡眠時間は足りていますか?」という質問に対して、「十分である」と答えたのは33%にとどまりました。
「そもそも眠りが足りていない」あなたにも当てはまる睡眠のお悩み14パターン
平日の寝不足を取り戻すべく、休日に「寝だめ」に走る人も
多くの人が、1日7時間前後の睡眠では「足りない」と感じているようです。
その反動か、休日の睡眠時間は「8時間以上」とする人が多く、11.7%の人が「13時間以上」と回答しました。いわゆる「寝だめ」で、そうしたい気持ちもわかる結果ですが、白書は「仕事をしている人にとっての休日は、特に体はもちろん心を休めるためにも非常に重要な時間である」とした上で、「ただし、休日の寝だめには、体の『睡眠リズム』を崩す可能もあることがわかっており、睡眠時間を見る中でも重要なポイントといえる」と、問題点を指摘しています。
「ネガティブ思考」が不眠への入口になる
不眠の人ほどネガティブな考えの中で眠りにつく
「安眠難民」の人たちは、どうして寝られないのでしょうか。
白書は、寝る前に考えていることを不眠度別に比較しています。これによると、不眠の疑いが強い人、また寝付きが悪い人ほど「寝る前にネガティブなことを考えている」ことがわかっています。
習慣化すれば「入眠障害」に陥る可能性も
悩みごと・心配事は誰しもありますが、そのために毎日のように寝付けないとすれば、「入眠障害」という病気の可能性が出てきます。
白書は「寝付けない日が続く、もしくは寝つきに2時間以上かかるようであれば、入眠障害の可能背もあるため病院での適切な治療が必要である」としています。
あなたは、身に覚えがありますか?
睡眠を阻害する最大の要因は「将来に関する悩み」
「将来」「健康」「金銭」に悩む安眠難民
「寝る前にネガティブなことを考えている」人たち。具体的に、どんな心配事に眠りを妨げられているのでしょうか。
「悩みごとがあって眠りにつけない」と回答したのは56.6%の人たちでした。悩みごとの種類について複数回答で質問したところ、一番多かったのが「将来に関する悩み」、次いで「健康に関する悩み」「金銭面での悩み」が上位を占める結果になりました。個人差あるいは程度の差こそあれ、どれも切実で深刻な悩みであり、眠りを阻害するに十分な要因と言えるでしょう。
「将来に関する悩み」を解剖する
さらに、1位になった「将来に関する悩み」について、具体的に聞いた調査結果があります。
それは、上位のものから、
- お金・貯金
- 収入
- 自身の老後
- 健康
というものでした。
「心がけ」では解決できない問題
やはりいずれも深刻な悩みであること、また回答した個々人によって悩みのポイントがあることは類推できます。
しかしそれよりも、これらが個人ではなく社会の抱える問題であり、何かに気をつける・心がけるだけでは解決できない「社会病理」である点に、悩みの深さがうかがわれる結果だと思えます。
では、どうすればいいのか
「働き方改革」は一つの対症療法
「将来に関する悩み」で眠れないのだとすれば、根治的に眠れるようにするためには、その悩みを払拭するしかないことになります。
白書も、「不眠を改善するには『寝る前の悩み』を引き起こす心理的要因を取り除くことが大切」とし、「個人の問題だけではなく、その人の置かれている環境全体の問題である」と結論づけています。昨今話題の「働き方改革」などは、状況を打開する対症療法の一つだと考えることができるでしょう。
「よい睡眠」のための生活習慣
白書は、睡眠週刊や睡眠環境を整えることで、よい睡眠を取れるように意識して励行している事柄についても調べています。
傾向として、不眠症の疑いが「ある」人ほど、改善の努力をしています。優位性が見られるほどの差異がないので順不同で紹介すると、
- ストレッチをする
- カフェインを取らない
- マッサージをする
- 読書をする
- 音楽を聴く
などが並びました。
できることから始めよう
いずれも簡単な生活改善の手段です。
「こんなことしかないの?」と、無力感を感じる人も多いでしょう。「老後について深刻に悩んでいる人が、音楽を聴いたら眠れるのか」という議論はもっともであり、厳しい現実を指摘するものでもありますが、生活習慣の改善という「できること」をコツコツ行うことで、より良い睡眠に近づく可能性は否定されるものではありません。
まずはできることから。手をこまねいていては「安眠難民」からは脱出できないのです。
以上、最新の「睡眠白書」から「日本人の睡眠環境」の概略について見てきました。
決してよい環境にないことが改めてわかる内容であることは明らかです。加えて、今年に入ってからの新型コロナウィルスの世界的流行による人的・経済的ダメージを考えると、状況は今後さらに悪化すると見積もらざるを得ません。安眠難民はどれだけ増えていくのでしょうか。非常に心配されます。
当サイト「睡眠専科」では、今後も「睡眠白書」をウォッチし、最新情報と睡眠環境向上の方法について紹介していこうと思います。どうぞご注目ください。
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