人生の3分の1は眠りの中にあります。
眠りの中で人は「夢」を見ます。夢を見たことがないという人も、朝起きて覚えていないだけで、じつは夢を見ています。
どうせ夢を見るなら、嫌な夢よりは良い夢を見てすっきり目覚めたいですね。
今回は「夢と眠り」について調べてみました。

古い伝説や神話世界の夢

昔の人々は、夢は神や妖精、悪魔のしわざ、あるいは睡眠中に体から抜け出た魂が経験したことだと考えていました。
いくつか例を紹介しますが、夢に関係したこうした神話や伝説は、世界中にたくさん残っています。
昔の人々は、夢は人知の及ばない現象だと思っていたのですね。

ギリシャ神話の「夢の神」

ギリシャ神話では、モルペウス(夢を形作る)、ポベートール(悪夢を生む)、パンタソス(非現実的な夢を生む)などの夢の神たちは、眠りの神ヒュプノシスの息子だと言われています。

夢の獣「獏」

中国の古い文献には「獏」は、ジャイアントパンダや、象・犀・牛・虎の混ざったような姿で書かれています。もともと疾病や悪気を祓う存在でした。日本に伝わってから、良い夢を見たり悪夢を食べてもらう動物とされるようになりました。元旦に枕の下に敷く絵の宝船の帆にも「獏」と書かれたものがあります。

キリスト教の「夢魔」など

キリスト教の悪魔「インキュバス」「サキュバス」、黒馬の姿の「ナイトメア」、ゲルマンの伝説の「アルプ」など、古代文明にルーツを持つ夢魔が知られていて、悪夢を見せたり生命力を奪ったり性欲を操ったりして悪をなします。
夢魔は、古来さまざまな絵画や文学にインスピレーションを与えています。

ネイティブアメリカンの「ドリームキャッチャー」

アメリカ先住民の魔除けであるドリームキャッチャーは蜘蛛の巣を象ったもので、蜘蛛の姿の女神が悪夢から人々を守ると言い伝えられています。
ドリームキャッチャー

夢を解釈しようとする試み

ほとんどの場合、夢の内容はそれを見た人にとって不可解きわまりますよね。
どうしてそんな夢を見たのか、どんな意味があるのか?
その謎を解き明かそうと、古代から夢の解釈が盛んに行われ、それによって将来を予知したり吉凶を占ったりされてきました。
古代メソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』、古代イスラエルの『旧約聖書』、日本でも『古事記』など、聖人や英雄が夢で神の意思を知ったり、夢で吉凶を占ったりするエピソードは、枚挙にいとまがありません。
書物も多く書かれています。
2世紀のギリシア人アルテマドロスの『夢判断の書』、中国の『周公解夢』(後世の偽作と言われている)などが有名です。日本でも夢を解釈する書物が盛んに書かれています。
そういう書物や言い伝えをもとに、古代や中世の人々は、日常的に夢で未来を占ったり吉凶を判断していたわけです。

現代人にとっては、ばかばかしいと思ってしまうかもしれませんが、これらは多くの夢体験や、共通している傾向を経験則的にまとめたものですから、後世の科学的・体系的な夢の研究に少なからず影響を与えました。
『夢判断』で有名なフロイトも、『夢診断の書』をはじめとする、たくさんの先人の研究を詳しく調べたそうです。

心理学における夢の研究

近代になると、夢は「見る人の心の中」を表していると考えられるようになります。

フロイトの『夢判断』

ジークムント・フロイト

精神分析学の祖といわれるジーグムント・フロイトは、夢を「抑圧された願望」であると考えました。フロイトの夢分析では、夢の内容と性的願望を結びつけた事例が多すぎるきらいがあり、批判されることもありましたが、その内容や手法はその後の研究に大きく影響を与えました。

ユングの夢分析

UFO

カール・グスタフ・ユングは、人間の無意識の奥には、集合的無意識(人類や民族に共通するイメージ)があるとして、夢に現れた人や物が持つ意味を、対話形式で探っていく方法で、心理分析を行いました。

精神医学、心理学の分野では、現代にいたるまでこうした夢の研究が続けられています。

夢を見る仕組み

「脳」の研究が進むと、研究者たちは生理学的に夢にアプローチできるようになりました。

レム睡眠と夢

「レム睡眠」が発見されたのは、1953年のことです。シカゴ大学の大学院生ユージン・アセリンスキーと指導教授のナサニエル・クレイトマンが睡眠時の眼球運動の研究でレム睡眠を発見し、それと夢が関係していることに気づいたのです。
息子を被験者にしてアセリンスキーが睡眠中の眼球運動を観察し、眼球運動が見られた際に息子を起こしてみると、「夢を見ていた」と答えたのだそうです。

眠っている間の脳波を調べると、健康な人はだいたい入眠後1時間ほどで大脳皮質の活動が休息するノンレム睡眠の状態に達し、その後は大脳皮質の活動が盛んなレム睡眠と、ノンレム睡眠を交互に繰り返すようになります。平均的な睡眠時間の人では一晩で4、5回繰り返し、朝になるとレム睡眠の状態から覚めて覚醒します。もし、ノンレム睡眠のときに無理やり起こすと、ぼうっと寝ぼけた目覚めになってしまいます。

レム睡眠とノンレム睡眠

ストーリー性のある長い夢は、朝起きてからも思い出せるものがあります。そうした夢は、大脳皮質が活発に活動しているレム睡眠時に見ています。夢のストーリーにリンクして、深い感情の動き(情動)を伴うため、夢の内容に応じた身体の動きや寝ごとが生じることもあります。

ノンレム睡眠と夢

ノンレム睡眠時は眠りが深く、かつてはこのときには夢を見ていないと言われていました。今ではノンレム睡眠時にも夢を見ていることがわかっています。大脳皮質の活動が鈍くなっているので、曖昧で脈絡のないイメージや単純なストーリーの夢が多いようです。こうした夢の多くは、目覚めた後には明瞭に思い出すことができません。

夢は何のために見ているのか

それにしても夢とは何なのでしょうか、そしてなぜ夢を見るのでしょう。
さまざまな仮説があり、いまだに詳しいことはわかっていない分野ですが、次のようなことが言われています。

  • 脳の記憶を整理するため
    大脳が覚醒中に得た情報を整理して、残すべき記憶と消す記憶の選別を行うプロセスで生じたイメージを知覚している。
  • 問題解決のシミュレーションをするため
    体験や知識を整理して、起きている間にこれから起こりうることのシミュレーションを行なっている。
  • 感情を整理するため
    嫌な思い出やつらい記憶を整理して心の痛みを軽くしようとしている

他にも、夢を見ることで、起きているときの「想像力」が高まることを実証した実験もあります。

いずれにしても、夢は睡眠中の大脳皮質の活動と深い関係があり、夢の内容はその過程で生まれた副産物だというふうに考えられます。
夢とはしょせん大脳皮質の“ノイズ”にすぎない、と言いきる人もいます。
しかし、夢で自分の心の状態を自覚したり、重要な示唆を受けたりということもありますから、まったく無意味な雑音とは言えないのではないでしょうか。

夢の内容は何を意味しているのか

誰でも見たことがある類型的な夢

夢には、ある種の類型が見られます。

  • 落ちる夢
  • 空を飛ぶ夢
  • 遅刻する夢
  • 追いかけられる夢
  • 死ぬ夢、殺す夢

こうした夢を見るのは、深層心理の働きであると言われています。
たとえば「追いかけられる夢は、現実の期限や締切を内心で負担に感じている」「落ちる夢は、今の地位や状態から脱落することを恐れている」というようなことです。

健康的な生活を送れているなら、あまり夢の意味にとらわれる必要はないかもしれません。
生活上、強いストレスを感じていたり、イライラや不安感に苛まれるときは、精神科医や心療内科医、臨床心理士やセラピストなど、専門家の助けを借りましょう。その治療においては、夢の分析が効果的なこともあるでしょう。

未来を当てる「予知夢」の謎

「正夢」と言われるものがあります。夢が現実になることですね。
宝くじが当たった夢とか、素敵な人に出会う夢とか、本当にそうなればどんなにいいことかと思いますが、ほとんどの場合は単なる偶然と言われています。
しかし、中には、それまで努力を重ねていたことがちょうど報われる時期と一致していたり、自分と周りの人の願望が同じだったりして、現実に同じことが起こることもあるかもしれません。
「正夢」の一種として、神様やご先祖様からの「お告げ」というものもあります。これは「霊夢」と呼ばれます。
現実と一致する夢は「予知夢」と呼ばれ、多くの小説や映画、マンガなどで好んで取り上げられます。
予知夢には、目が覚めてからも象徴的なイメージが明確に残り、強いストーリー性があり、近い未来だけでなく遠い未来の現実の出来事と一致するという特徴があります。
有名な予知夢の例として、下記のようなものがあります。

  • 自分が暗殺された直後の情景を見た(エイブラハム・リンカーン)
  • 夫が暗殺される前夜に、夫によくないことが起こる夢を見た(ユリウス・カエサルの)

フィクションの世界ではよく「予知夢を見る特別な能力」が出てきますが、その真偽はわかりません。
ただ、次のようなエピソードは意識下での情報分析や思考が夢に反映され、結果的に予知夢として表れた例なのかもしれません。

  • 小説のストーリーのヒントを夢から得ていた(ロバート・ルイス・スティブンソン)
  • ウロボロス(蛇の輪)の夢を見て、ベンゼンの六員環構造を思いついた(アウグスト・ケクレ)
  • 夢の中で聞いたメロディから『イエスタデイ』を作曲した(ポール・マッカートニー)

大勢の人が夢に見たことが実際に起こったら、それは皆が共通の不安や予見を持っていた可能性があります。それぞれが夢に見たさまざまな象徴的なイメージを、ひとつの起こった現実に当てはめて「あれはそういう意味だったんだ、予知夢だったんだ」と納得することもあるでしょう。

すべての予知夢を合理的に説明することはできませんし、もちろん真偽もわかりませんが、夢では、理屈に合わないどんな不思議なこともでも起こりそうですね。
災害や暗殺など、不吉な予知夢を見たくありませんが、成功のヒントや嬉しい出会いのような予知夢なら、ぜひ見てみたい人が多いのではないでしょうか。

見たくない嫌な夢、怖い夢

悪夢一般的には「悪い夢」のこと全般を「悪夢」と呼んでいますが、「悪夢」には、「不安夢」と「悪夢」があります。

気分の悪くなる不安夢

目覚めたときに気分が悪くなってしまうような夢を「不安夢」と言います。望めるものなら見たくない夢ですね。
夢に意味があるとしたら、不安夢にもなんらかの意味があるのでしょうか。
不安夢は、現実で受けているストレスと深く関係していることがわかっています。

  • 学業や仕事のストレスを抱えているとき
  • 人生の節目のイベントなど先に起こることに不安があるとき
  • 現実での失敗や負い目があるとき○悲しい出来事があったとき
  • 生活リズムの乱れや過労など身体にストレスがかかっているとき

これらの問題を解決し、ストレスがなくなると不安夢は見なくなるそうです。
つまり、不安夢とは、負の感情の浄化しようとする一種の「問題提起」で、問題への肯定的な取り組みを促す意味があると言えそうです。

子どもも不安夢を見る

ストレスが原因だとすると、天真爛漫な子どもたちは不安夢を見ないのでしょうか。

子どもはレム睡眠の割合が大人よりも多く、夢もたくさん見ています。子どもの寝相が悪いのもそのせいだと言われています。
乳児がちょっとした物音で目を覚まして泣いてしまうのも、眠りの浅いレム睡眠の時間が多いからですから、怖い夢を見ているのかもしれません。赤ちゃんの夜泣きの原因は、おっぱいやおむつだけではなく、そんな理由があるのかもしれませんね。

子どもが不安夢を見はじめるのは3歳頃からといわれ、大人よりも不安夢を見る頻度が高く、そのピークは6~10歳頃といわれています。
この年齢は、ちょうどレム睡眠の割合が大人と同じくらいになる頃と一致しています。
成長の過程で不安夢が増えていくのは、日々、外の世界に触れて新しい刺激に接し、怖いとか痛いとかさまざまな体験を積んで、夢の中で問題解決のシミュレーションを繰り返しているのかもしれません。つまり、脳が成長しているわけです。

目を覚ましてしまう「悪夢」

「悪夢」とは、夢を見た直後に飛び起きて睡眠が中断されてしまうような嫌な夢です。
悪夢は、大脳が処理しきれないほどの現実のストレスが生じているときに見るようです。
何日も繰り返し悪夢を見たり、一晩に何回も悪夢を見て起きてしまう場合は、「悪夢障害」という睡眠障害である可能性が高いかもしれません。
問題解決を努力したり、気の持ちようだけではすまないほどの心的、身体的なストレスにさらされている危険がありますので、専門家の助けが必要です。
とくに子どもの場合では、知らないうちに強いストレスがかかかって、重大な問題が隠れていることがあり、注意しなくてはいけません。
子どもは災害など衝撃的なことが起こったり怖い思いをしても、外の世界で何が起こっているのか、自分がどういう状態にあるのかを十分に理解できず、人にうまく伝えることもできません。大人のようにセルフケアでストレスを軽減することができないので、とくに注意が必要なのです。
悪夢はPTSD((心的外傷後ストレス症候群)の症状のひとつでもあります。
原因がPTSDの場合は、起きている時もさまざまな症状が起こり、PTSDの専門的な治療が必要になります。

良い夢を見るための方法

できるなら、嫌な夢よりは良い夢を見て、良い気分ですっきり目覚めて、一日を活動的に過ごしたいですね。
最後に、良い夢を見るためのヒントをいくつかあげておきます。

  • ぐっすり眠れる環境を整える
  • 寝る前は怖い映画や本を避ける
  • 悩みや気になることをくよくよ考え込まない
  • 脳を休ませるために、寝る前にリラックスできる音楽を聴いたり、瞑想タイムを持つ

良い夢を見るためには、何よりも健やかな睡眠が大事です。

コントロールできる夢

睡眠時に「これは夢である」と自覚しながら見つづけている夢を「明晰夢」と言います。
明晰夢では、ある程度、夢の内容をコントロールできます。夢の中で自分の思い通りに内容をコントロールできたら楽しそうですね。
明晰夢をよく見る人の経験談によれば、次のような“コツ”があるそうです。

  • ぐっすり眠れるように体調や生活習慣を整える
  • 眠る前に見たい夢についてはっきりしたイメージを持つ
  • 夢を自覚したら、覚醒しないようにする。複雑なことを考えず、体を動かさない

治療や訓練として明晰夢を取り入れる試みもされています。「夢を見た時は毎回起床後に夢を書きつけておく」ことを繰り返すことで、明晰夢を見やすくなるそうです。

夢との付き合い方

睡眠と夢についていろいろ調べてみました。
心理学的、生理学的な研究が進んでも、夢のメカニズムはまだまだわからないことがたくさんあります。それだけに多くの人を惹きつけてきたとも言えます。
夢は、科学的な研究だけでなく、人文学的分野や芸術分野でも魅力的な素材です。夢を題材にしたフィクションはたくさんありますね。
心理学的な研究を応用した夢占いや、昔からある良い夢を見るおまじないもたくさんあります。それらを楽しんだり、夢日記をつけたり、明晰夢にチャレンジしたりすることも、夢とのつきあい方になるでしょう。
皆さん、夢とうまくつきあって、快眠生活を送ってくださいね。

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